SDGsは2015年9月、国連に加盟している193ヶ国の首脳が、ニューヨーク国際本部にて開かれた国際サミットで、全会一致で採択されました。
SDGs(持続可能な開発目標)のアジェンダの中には、水に関する目標も掲げられております。
SDGsの水に関する目標「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」とは、どういう内容なのか?なぜ必要なのか?私たち個人にもできることをご紹介いたします。
SDGs水に関する目標6とは?
SDGsには合計17の目標と169のターゲット(付随する達成目標、実現する為の方法など)が存在します。
水に関する目標6は「すべての人々の水と衛生の利用可能性と持続可能な管理を確保する」と定義されております。
それに付随する8つのターゲットについて、外務省によるSDGsの仮訳全文をご紹介いたします。
ターゲット(達成目標)
[6-1]2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ平等なアクセスを達成する。
[6-2]2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女子、ならびに脆弱な立場にある人々のニ ーズに特に注意を向ける。
[6-3]2030年までに、汚染の減少、投棄廃絶と有害な化学物質や物質の放出の最小化、未処 理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模での大幅な増加させ ることにより、水質を改善する。
[6-4]2030年までに、全セクターにおいて水の利用効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な 採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
[6-5]2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
[6-6]2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼などの水に関連する生態系の保護・回復を行う。
ターゲット(実現する為の方法など)
[6-a]2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用 技術など、開発途上国における水と衛生分野での活動や計画を対象とした国際協力と 能力構築支援を拡大する。
[6-b]水と衛生に関わる分野の管理向上への地域コミュニティの参加を支援・強化する。
SDGs水に関する目標6が必要な理由
目標6は、全ての人が安全に水を飲めるようにすること、トイレを利用できるようにすることに加え、水不足や水質向上など、水に関するあらゆる問題を解決する内容となっています。
SDGsは「地球上の誰一人取り残さない」という強い意志を持って発足された為、SDGsを理解する上で、世界の水事情についても知っておく必要があります。
世界中では人口の40%を超える人たちが水不足に苦しむだけでなく、糞便に汚染されている水を飲料水として使用するしか無いなど、衛生的にも極めて生命の危機に関わる課題を抱えているとともに、紛争等の原因にもなっているからです。
・糞便で汚染された飲料水を使用する人の数(約18億人)
・トイレや公衆便所など、基本的な衛生施設を利用できない人の数(24億人以上)
・排水処理されずに流されている汚染水(80%)
・下痢性疾患で死亡する子どもの数(1日800人以上)
・その他、不衛生な水が原因による疾患で死亡する子どもの数(年間180万人)
SDGs4つの取り組み
SDGsは社会貢献ではなく、全ての加盟国の政府や企業、個人などが共通して達成を目指す、人権や環境、開発などに関する国際的な目標です。
SDGsの目標に対して、下記4つの取り組みが注目されております。
- CSV
- CSR
- ESG
- ESD
1CSV(Creating Shared Value)
「共有価値の創造」=企業や団体が取組む社会貢献
社会課題を解決することによって、社会と経済両方を想像するという経営モデルのことを指します。
2CSR(=Corporate Social Responsibility)
「企業の社会的責任」=企業の利益と社会問題の解決がどちらもできる
会社の利益ばかりを求めるのではなく、社会をよくする為に行動することを指します。
以前から上場企業では一般的であった、環境保全や社会貢献、労働環境改善、投資家への説明責任を果たすためのIR(インベスター・リレーションズ:投資家向けの広報)もこれに含まれます。
3ESG(Environment、Social、Governance)
「環境、社会、企業統治」=企業が成長し続けるための重要な3つの要素
売上・利益を求め、成長し続けようとする企業によって引き起こされる「環境汚染」「労働問題」を解決する為の新しい考え方として生まれたものです。
ESGを意識した経営は「ESG経営」と呼ばれ、それに着目し投資を行うことを「ESG投資」と呼びます。ESGによって変化した経営スタイルが投資家にとって良い印象となった場合に「成長し続ける企業」として投資対象になると言われております。
4ESD(Education for Sustainable Development)
「持続可能な開発のための教育」=未来のための教育
SDGsの目標にある環境・貧困・人権といった様々な世界の問題を、一人ひとりが自らできることを考え、実践していくこと、身に付ける学習や活動のことを指します。
私たちにできること
SDGsは企業や投資家による取り組みが大きいと考えられがちですが、私たち一人ひとりの個人が貢献することも重要です。
例えば、水道の蛇口から流れる水は量が多く、毎分11〜13リットルの水が吐水されます。水道をこまめに止めるようにするだけで、1世帯で年間約75,000リットルもの水が節約できます。
また調理後の油をそのまま排水溝に流さないことでも、水質汚染や海の生態系を守ることができます。
これらのように些細なことでも、個人が意識することでSDGsに貢献できるということです。
また途上国の飲み水やトイレを作る活動に寄付することも大きな貢献です。
数千円の支援でORS(経口補水塩)、家庭用衛生キットなどを多くの子どもたちに提供でき、1錠で4〜5リットルの水を浄化できる浄水剤なども購入できます。一人ひとりが少額でも寄付をすることで大きな金額となり、多くの子どもを救うことができるのです。
2030年までに全世界の国民が一丸となり、目標を達成させられることができれば、人間のみならず地球にとっても素晴らしいことだと考えております。